クレジットカード会社の形態はアメリカと日本では少し違っています。日本の代表的なクレジットカード会社は銀行系、信販系、流通系などに分類することができます。しかしアメリカでは銀行本体がクレジットカードを発行するケースがほとんどです。アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブはプロパーカードを発行していますが、VISAやマスターカードはブランドの供与が専門でカード発行はしていません。
アメリカではブランドを提供するVISAのようなブランドホルダー、カードを発行するイシュア、加盟店を獲得するアクワイアラーというようにそれぞれ業務単位で専門の業者が存在するのです。これに比べて日本ではひとつのクレジットカード会社がそれぞれ国内ブランドを持ち、加盟店ネットワークを形成してクレジットカードを発行する形態が主流です。つまり一社ですべての業務をこなしているのです。分業のほうが効率が良く無駄な経費もかからないのですが、現在のような業務形態になったのには歴史的な背景があります。
日本で銀行本体がカード発行しない理由
最近、ソニー銀行がソニーファイナンスのカード事業を引き継いで直接クレジットカード発行すると発表しています。こうした銀行本体がカード発行することは日本では珍しいことです。なぜかというと長い間日本の銀行は内部業務としてのカード発行ができなかったからです。銀行法でカード発行が認められていなかったので、銀行は子会社を設立してクレジットカードの発行を行いました。それが銀行系クレジットカード会社です。
今では銀行も直接クレジットカードを発行することが可能ですが、すでに子会社がカード会社として機能しているので、わざわざ銀行本体で発行する理由はありません。ソニー銀行は例外的にクレジットカード発行するようですが、狙いはカード会員を銀行商品へのアプローチとして利用するためのようです。
メガバンクは銀行グループとしてクレジットカード会社や信販会社を持っています。提携カードとしてカードを発行すれば直接発行するよりも経費はかかりません。直接カード発行してカード会員の情報を銀行業務に活用するよりも、すでに存在している子会社に管理を任せて経費を節減することを選んだということでしょう。
信販会社とクレジットカード
信販会社は、クレジット会社とも呼ばれています。立替払いによるショッピングクレジットやオートローンなどは信販事業と言われています。信販会社がクレジットカードを発行するようになったのは、ショッピングクレジットで対応できない少額の取り扱いをするためです。
基本的には1万円以下の利用を想定してカード発行を開始していますが、今ではある程度高額な利用も取り扱うことを前提にしています。ショッピングクレジットの売上をなるべくクレジットカードにシフトする事で経費を節約できるからです。
ショッピングクレジットでは申し込みを受けるたびに審査が必要です。これに対してクレジットカードは一度審査すると次の更新まではほとんど審査をすることはありません。それだけ手間がかからないので経費を節約できるのです。
分割払いをクレジットカードに導入したのも信販会社です。ショッピングクレジットの支払方法をそのまま導入したのです。分割払いは一部の外資系のクレジットカードを除いて、どのカードでも利用することができます。しかし21世紀になるまでは銀行系クレジットカードでは分割払いができませんでした。
銀行法の管轄になる銀行系クレジットカード会社は旧通産省が管轄する割賦販売法の対象外とされていたからです。分割払いを取り扱いできるのは割賦販売法の「割賦購入あっせん業者」に限られ、登録が必要です。旧通産省が銀行系クレジットカード会社の登録を認めなかったので分割払いの取り扱いもできなかったのです。
途中でリボルビング支払の取り扱いだけは認めましたが、最終的には2001年まで分割払いの取扱を認めませんでした。しかし現在ではクレジットカードの利用の殆どは1回払いで、次にリボルビング支払、分割払いはほとんど利用されていません。なぜ旧通産省がそんなに銀行系クレジットカード会社を拒否してきたのかわかりませんが、結果的には分割払いの取り扱いはそれほど売上には寄与していないようです。
クレジットカード会社の系列
日本のクレジットカード会社はある程度系列で分けることができます。しかし最近では銀行の子会社になるクレジットカード会社も多く以前ほど明確に系列で分けることができなくなってきました。
◆銀行系クレジットカード会社
銀行がクレジットカード発行のために設立した子会社が銀行系クレジットカード会社です。都銀や地銀が設立したクレジットカード会社は数多くありますが、銀行グループとして設立したクレジットカード会社もあります。後者の代表的なカード会社は三井住友VISAカードやJCBということになります。こうした大手の銀行系クレジットカード会社が同じ系列の銀行子会社を従えてグループを形成しています。
一方で信販会社や流通系のクレジットカード会社の中には、経営不振で銀行子会社になるというケースもあります。流通系の場合は親会社の経営不振で買収されるというケースがほとんどです。三菱UFJニコスは日本信販、UFJカード、DCカードが合併してできた銀行系クレジットカード会社です。
また、セディナもOMCカード、セントラルファイナンス、クオークが合併しています。こうした後発の銀行系カード会社の場合は、発行しているクレジットカードのサービスはそのままなので、信販系や流通系の特色をそのまま残しています。
◆信販系クレジットカード会社
大手の信販会社は、現在ではジャックス、オリエントコーポレーション、アプラス、セディナだけとなりました。最大手だった日本信販は信販事業をジャックスに譲渡してクレジットカード事業の専業となっています。セントラルファイナンス、クオークは合併してセディナとなりました。また国内信販も信販事業をオリエントコーポレーションに譲渡し、楽天KCとしてカード事業専業となりました。つまり信販会社は数だけ考えると半減しているのです。
資本で考えると独立した信販会社はないと言ってもいいでしょう。ジャックスは三菱UFJグループ、オリエントコーポレーションはみずほグループ、セディナは三井住友グループと、それぞれメガバンクグループの子会社です。アプラスも新生銀行グループに属しています。それだけノンバンクは単独の資本で運営していくのが難しくなったのです。
